100均材料で500円以下!段ボール燻製器の作り方と燃やさないコツ

やり方

「燻製をやってみたいけれど、専用の道具をいきなり買うのは、なんだか怖い」

そんなふうに足踏みをしてしまう気持ち、とてもよく分かります。

安曇野の古い家で暮らすようになり、毎日のように煙と向き合っている私でさえ、新しい道具を買うときは少しだけ身構えてしまうものですから。

もし飽きてしまったらどうしよう。

失敗して、無駄にしてしまったらどうしよう。

そんな不安を、いちど手放してみませんか。

実は、スーパーの裏でもらえる段ボールと、100円ショップの道具だけで、驚くほど本格的な燻製器は作れます。

今回は、私が実際に試行錯誤してたどり着いた、「一番失敗が少なくて、安全な段ボール燻製器」の作り方をご紹介します。

製作費は500円ほど。

工作が苦手でも大丈夫です。

「燃えるのが怖い」という不安を解消するための、火との付き合い方も丁寧にお伝えしますね。

 

なぜ初心者に「段ボール燻製」がおすすめなのか

これから燻製を始める人に、私がまず段ボールでの自作をおすすめする理由は、単なる「安さ」だけではありません。

そこには、燻製という趣味を長く細く続けるための、心理的なメリットがあるからです。

 

失敗しても懐が痛まない「気軽さ」

燻製は、煙と食材と温度のバランスを探る、静かな遊びです。

最初はチップの量がわからなかったり、温度が上がりすぎて食材が酸っぱくなってしまったりすることもあるでしょう。

でも、元手が数百円の段ボールなら、「まあ、いいか」と笑って流せます。

この「気負わなさ」こそが、燻製を楽しむ一番の秘訣だと私は思っています。

 

片付けが楽で、匂いをリセットできる

燻製をした後の道具には、ヤニ(樹脂)の汚れと、焚き火のような濃い匂いが残ります。

金属製の道具だと、それをきれいに洗い流すのがひと苦労ですし、保管場所の匂い移りも気になります。

その点、段ボール燻製器なら、使い終わったらそのまま資源ごみとして捨てられます。

「今日の燻製」を楽しみ尽くしたら、きれいさっぱりリセットできる。

ベランダという限られたスペースで楽しむ私たちにとって、この身軽さはとても大切です。

 

準備するもの:100均(ダイソー等)で揃う材料

それでは、準備に取り掛かりましょう。

特別な専門店に行く必要はありません。

ダイソーやセリアなど、近所の100円ショップですべて揃います。

 

必須の材料リスト

以下のものを揃えても、合計500円前後で収まります。

  1. 段ボール箱(1個) スーパーなどで無料でもらえるもので十分です。 サイズは「みかん箱」程度か、もう少し縦に高さがあるものがおすすめ。 食材と煙源(スモークウッド)の距離を離すため、高さがあるほうが熱が伝わりすぎず、失敗しにくいからです。
  2. 焼き網(1枚) 段ボールの幅に合うサイズを選びます。 少し大きくても、段ボールに切り込みを入れれば固定できるので、小さすぎるよりは大きい方が安心です。
  3. 竹ひご、または菜箸(2〜3本) 網を支えるための棒です。 段ボールを貫通できる長さのものを用意してください。
  4. ガムテープ(1個) ここが少しだけポイントです。 できれば「紙製」ではなく「布製」の粘着力が強いものを選んでください。 煙という形のないものを閉じ込めるために、しっかりと目張りをする必要があるからです。
  5. カッター・ハサミ ご家庭にあるもので構いません。

 

あると便利なもの

 

S字フック

ベーコンや魚など、網に置くのではなく「吊るす」燻製をしたい場合に便利です。

 

アルミ皿・アルミホイル

煙を出すスモークウッドを乗せるために使います。 100均のBBQコーナーにある使い捨てのアルミ皿が便利です。

 

【図解なしでも簡単】段ボール燻製器の作り方手順

工作といっても、難しい計算は必要ありません。

「煙を閉じ込める箱」を作ればいいだけですから、肩の力を抜いてやっていきましょう。

 

手順1:段ボールの隙間を塞ぐ

まずは、段ボールの底をガムテープでしっかりと閉じます。

角の部分や、折り目の隙間から煙が逃げやすいので、光が漏れないように丁寧に貼ってください。

このとき、ガムテープをちぎる音や、粘着面の手触りを感じながら作業するのも、DIYの密かな楽しみです。

 

手順2:食材を置く「棚」を作る

段ボールの上部から、10〜15cmくらい下がった位置に、対面するように穴を空けます。

そこに竹ひご(または菜箸)を2本、平行に通します。

これが、網を乗せるための「桁(けた)」になります。

その上に焼き網を乗せてみてください。

安定していればOKです。

もし網が大きすぎて入らない場合は、網の大きさに合わせて段ボールの側面にスリット(切れ込み)を入れ、そこから網を差し込む方法もあります。

 

手順3:スモークウッドの投入口を作る

段ボールの下の方(底から5〜10cmくらいの位置)に、小さな扉を作ります。

カッターで「コの字」型に切り込みを入れて、パカッと開くようにしてください。

ここから、火をつけたスモークウッドを出し入れします。

また、この扉は新鮮な空気を取り込む吸気口の役割も果たします。

 

手順4:天井に煙突を作る

最後に、段ボールの天井(フタ部分)の一部に、小さな穴を空けるか、ガムテープで閉じる際に少しだけ隙間を残しておきます。

煙は下から上へと流れます。

出口がないと煙が箱の中に充満せず、酸素不足で火が消えてしまう原因になります。

これで、あなたのための小さな燻製小屋の完成です。

 

「燃える」を防ぐ!安全な使い方と注意点

段ボール燻製器について検索すると、「燃える」「火事」といった怖いキーワードを目にすることがあります。

確かに、段ボールは紙ですから、扱いを間違えれば燃えます。

ですが、「熱源の選び方」さえ間違えなければ、そのリスクは限りなくゼロに近づけられます。

安全と安心は、心地よい燻製時間の土台です。

ここだけは、しっかりと守ってください。

製品評価技術基盤機構(NITE)や消費者庁からも、カセットボンベの誤った使用による破裂事故について、たびたび注意喚起が行われています。楽しい時間を悲しい思い出にしないために、正しい知識を持ちましょう。

(出典/参考リンク) カセットボンベの破裂事故に注意しましょう! – 消費者庁

 

鉄則:カセットコンロやガス火は絶対NG

一番やってはいけないのが、段ボール燻製器の下にカセットコンロやバーナーを置くことです。

これは絶対にやめてください。

実際に、段ボールでカセットコンロを覆って燻製をした結果、熱がこもってボンベが爆発し、怪我人が出た事例も消防から報告されています。「自分は大丈夫」という油断が一番の敵です。

「熱燻(高温で短時間燻す方法)」をやりたい気持ちはわかりますが、段ボールで直火を使うのは危険すぎます。

日本ガス石油機器工業会などの専門機関も、カセットコンロを大きな調理器具で覆う使い方は、ボンベが過熱して破裂する恐れがあるとして明確に禁止しています。

(出典/参考リンク) カセットコンロの事故に注意!!(事例4参照) – 塩釜地区消防事務組合
(出典/参考リンク) カセットこんろ・カセットボンベの安全な使い方 – 一般社団法人 日本ガス石油機器工業会

 

初心者は「スモークウッド」一択で

段ボール燻製器で使うべきなのは、「スモークウッド」という線香のような燻煙材です。

一度火をつければ、炎を上げることなく、煙だけを出しながらゆっくりと燃え進んでいきます。

温度もそこまで上がらないため(箱内は30〜60℃程度)、段ボールが発火する心配はまずありません。

スモークウッドをアルミ皿に乗せ、先ほど作った「投入口」からそっと入れる。

これだけで、安全に、美味しい燻製が作れます。

 

燃やさないためのもう一つのコツ

念のため、スモークウッドを置く場所(段ボールの底)には、アルミホイルを二重に敷いておきましょう。

万が一、ウッドが転がったり、熱い灰が落ちたりしても、段ボールに直接熱が伝わらなければ大丈夫です。

 

実際にやってみて感じたメリット・デメリット

私が実際にこの自作燻製器で、チーズやナッツを燻してみたときの正直な感想を書き留めておきます。

 

メリット:意外なほど「ちゃんと燻製」になる

見た目は使い古した段ボールですが、出来上がった燻製チーズの味は、数千円の燻製器で作ったものと遜色ありませんでした。

むしろ、段ボールが適度に水分を吸ってくれるおかげか、食材が汗をかいてベチャッとならず、美味しく仕上がったのには驚きました。

蓋を開けた瞬間、ふわりと立ち上る香ばしい煙に包まれると、見た目の悪さなんてどうでもよくなってしまいます。

 

デメリット:耐久性と見た目

やはり紙なので、雨の日には使えません。

また、何度も使っていると、内部にヤニが染み込んで匂いが強くなり、衛生面も気になってきます。

もったいないと思わず、「1回〜3回程度の使い捨て」と割り切るのが良いでしょう。

 

まとめ:500円で手に入る、休日の豊かな時間

段ボール燻製器の作り方と、安全に楽しむためのポイントをご紹介しました。

最後に、大切な要点を振り返っておきます。

  • 材料は100均でOK:段ボール、網、竹ひご、ガムテープがあれば作れる。
  • 隙間を塞ぐ:煙を逃がさないよう、ガムテープでしっかり目張りする。
  • 熱源はスモークウッド:ガスコンロ等の直火は厳禁。「燃える」事故を防ぐために、煙だけが出るウッドを使う。
  • 使い捨てと割り切る:汚れたら気兼ねなく捨てられるのが最大のメリット。

「こんな箱で本当にできるのかな?」

そう半信半疑で火をつけたスモークウッドから、白い煙が静かに立ち上る瞬間。

そして数時間後、飴色に変わったチーズを口に入れた瞬間の感動は、きっと道具の値段とは関係のないものです。

特別なイベントがなくてもいい。

誰かと盛大に乾杯しなくてもいい。

まずは今度の休日、スーパーで段ボールをもらってくるところから始めてみませんか。

500円玉一枚で始められる「燻す日々」が、あなたの時間を少しだけ豊かにしてくれるはずです。

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