ダイエットの味方!高タンパク低カロリーな「ささみ燻製ジャーキー」の作り方

食材・レシピ

深夜、ふと小腹が空いたとき、冷蔵庫を開けて何もないことに絶望したり、逆にスナック菓子に手を伸ばして罪悪感に襲われたりしたことはないでしょうか。

私自身、安曇野の静かな夜に執筆作業をしていると、どうしても「口寂しさ」と戦うことになります。

そんな夜の、心強い救世主になってくれるのが、鶏のささみを使った「燻製ジャーキー」です。

コンビニで売っているサラダチキンやジャーキーも手軽で良いのですが、自分で作ると、塩分や添加物を気にせず、驚くほど自分好みの味に仕立てることができます。

噛めば噛むほど、凝縮された旨味と煙の香りが広がり、少量でも心が満たされる。

今回は、そんなダイエット中の味方であり、夜の時間を少し豊かにしてくれる「ささみ燻製ジャーキー」の作り方を、失敗しないポイントと共にご紹介します。

 

なぜ、ささみの燻製が「最強のダイエットおつまみ」なのか

燻製というと、ベーコンやチーズといった脂質の多い食材をイメージするかもしれません。

しかし、あえて「ささみ」を選ぶことには、味だけでなく身体にとっても大きな意味があります。

文部科学省の「食品成分データベース」によると、若鶏のささみ(生)は100gあたり脂質がわずか0.8gに対し、タンパク質は23.9gも含んでいます。これほど効率よくタンパク質を摂取できる食材は、そう多くありません。

(出典/参考リンク) 文部科学省:食品成分データベース(鶏肉/若鶏/ささみ/生)

 

コンビニ商品とは違う「安心感」と「コスパ」

コンビニの棚に並ぶ「燻製風味」のサラダチキンやジャーキーは、確かに便利です。

ただ、裏面のラベルを見ると、保存料や化学調味料の文字が並んでいることも少なくありません。

また、毎日のように買うとなると、それなりの出費になってしまいます。

スーパーで安く手に入るささみを使い、自分の手で燻製にすれば、素材は「鶏肉、塩、スパイス、煙」だけ。

余計なものを入れないシンプルさは、身体への負担を減らすだけでなく、素材本来の味がわかる繊細な舌を育ててくれます。

 

「噛む」ことが満足感を生む

ダイエットにおいて、ささみが優秀なのは「高タンパク・低カロリー」だからという理由だけではありません。

燻製にして水分を抜き、ジャーキー状にすることで、「よく噛む」という行為が生まれるからです。

咀嚼回数が増えると満腹中枢が刺激され、少ない量でも「食べた」という実感が湧きます。

農林水産省の食育ガイドでも、よく噛んで食べることは脳の満腹中枢を刺激し、「食べ過ぎの防止」や「肥満予防」につながると推奨されています。

夜、映画を見ながら、あるいは本を読みながら、時間をかけて一枚のささみを味わう。

それは単に空腹を紛らわせる作業ではなく、自分を取り戻すための豊かな時間になります。

(出典/参考リンク) 農林水産省:ゆっくり食べる、よく噛んで食べる

 

ささみ燻製ジャーキー作りの「しくみ」と「安全」

作り方に入る前に、少しだけ「しくみ」の話をさせてください。

ジャーキー作りで最も大切なのは、「乾燥」と「加熱」のバランスです。

 

「乾燥」が旨味を凝縮させる

ささみは本来、水分が多い食材です。

そのまま燻製しても、ただの「煙臭い蒸し鶏」になってしまい、あのジャーキー特有の噛み応えは生まれません。

下味をつけたあとに、しっかりと風に当てて水分を飛ばすこと。

この「乾燥」の工程こそが、旨味を内側に閉じ込め、保存性を高める鍵になります。

 

食中毒リスクを避けるための「熱燻」

鶏肉を扱う以上、カンピロバクターなどの食中毒リスクには慎重になる必要があります。

プロの設備がない家庭で、低い温度でじっくり乾燥させる手法(冷燻など)をとるのは、衛生管理上おすすめできません。

今回は、80℃〜100℃程度の高温で火を通す「熱燻(ねっくん)」という手法を使います。

しっかりと熱を通して殺菌しながら、その熱でさらに水分を飛ばしていくイメージです。

厚生労働省も、鶏肉の食中毒(カンピロバクター等)を防ぐためには、「中心部まで75℃で1分間以上の加熱」が必要であると強く注意喚起しています。本レシピの熱燻温度(80〜100℃で20分以上)は、この安全基準を満たすための設定でもあります。

(出典/参考リンク) 厚生労働省:カンピロバクター食中毒予防について

 

準備編:道具と材料

特別な道具は必要ありませんが、温度計だけは用意しておくと安心です。

 

必要な食材と調味料

今回は、誰にでも好かれる王道の「醤油ブラックペッパー味」で作ります。

  • 鶏ささみ:4〜5本
  • ソミュール液(漬け込み液)
    • 醤油:大さじ2
    • 酒(または白ワイン):大さじ1
    • みりん:大さじ1
    • 砂糖:小さじ1
    • 塩:小さじ1/2
    • おろしにんにく:少々
    • ブラックペッパー:多めに(お好みで)

燻製道具

  • 燻製器:鍋型、箱型など、熱燻ができるものなら何でもOKです。
  • スモークチップ:サクラ(香りが強く鶏肉によく合います)またはヒッコリー。
  • 燻製用温度計:必須ではありませんが、安全のために推奨します。
  • 脱水シートまたはキッチンペーパー:水気を拭き取るために使います。
  • 干し網(ドライネット):風乾をおこなう際に使います。

 

実践編:ささみ燻製ジャーキーの作り方

それでは、実際に作っていきましょう。

工程は「下処理」「漬け込み」「乾燥」「燻煙」「仕上げ乾燥」の5ステップです。

 

1. 下処理:筋を取り、薄く開く

ささみには白い「筋」があります。

ジャーキーにすると筋の部分が非常に硬くなって口に残るため、丁寧に取り除いておきましょう。

 

厚みを均一にする観音開き

ここが大事なポイントです。

ささみはそのままの太さだと、中心まで乾くのに時間がかかり、生焼けのリスクも高まります。

包丁を入れて「観音開き」にし、全体の厚さが5mm〜7mm程度になるように平たく伸ばしてください。

薄ければ薄いほど、パリッとしたハードな食感になります。

 

2. 漬け込み:味を染み込ませる

ジッパー付きの保存袋にソミュール液の材料をすべて入れ、開いたささみを投入します。

空気を抜くようにして口を閉じ、冷蔵庫で一晩(8〜12時間程度)寝かせます。

時々、袋の上から軽く揉み込んであげると、味が均一に入ります。

 

3. 乾燥:風の力で水分を抜く(重要)

翌日、冷蔵庫から取り出したささみを、流水でサッと洗います。

表面の余分な調味料を落とすことで、仕上がりの焦げ付きや塩辛さを防ぐためです。

キッチンペーパーで水気をしっかりと拭き取り、さらに新しいペーパーか脱水シートに包んで、冷蔵庫で1時間ほど置きます。

 

風乾で表面をパリッとさせる

その後、干し網(ドライネット)にささみを並べ、風通しの良い日陰で2〜3時間ほど乾燥させます。

表面を指で触ったときに、ペタペタせず、サラッとした感触になっていれば準備完了です。

この工程をサボると、煙に含まれる酸味だけが食材につき、酸っぱい仕上がりになってしまうので注意してください。

 

4. 燻煙:熱と煙で仕上げる

いよいよ燻製です。

燻製器の底にチップを一握り(10〜15g程度)入れ、網の上にささみを重ならないように並べます。

 

温度管理のコツ

まずは中火で加熱し、煙が出てきたら蓋をします。

温度は80℃〜100℃をキープしてください。

この温度帯で20分〜30分、しっかりと熱を通します。

途中で一度蓋を開け、ささみの表面に汗(水分)が浮いていたら、キッチンペーパーで優しく拭き取ってください。

このひと手間で、雑味のないきれいな燻製になります。

 

5. 仕上げ乾燥:好みの固さに調整する

燻煙を終えた直後のささみは、まだ柔らかさが残っています。

「ソフトジャーキー」が好きな方は、粗熱が取れたらこのまま食べられます。

もし、市販のジャーキーのような「噛みごたえのある固い食感」にしたい場合は、燻製後に再び干し網に入れ、冷蔵庫(ラップなし)または風通しの良い場所で半日〜1日乾燥させてください。

水分がさらに抜け、色が濃くなり、旨味がギュッと凝縮されます。

 

失敗しないためのQ&A

初めて作る方がつまずきやすいポイントをまとめました。

 

1. 完成したものが「固すぎ」て噛み切れません

乾燥させすぎたか、あるいは繊維の方向に沿って切り分けていない可能性があります。

ささみの繊維を断ち切る方向でカットしてから食べると、固くても噛み切りやすくなります。

次回作る際は、乾燥時間を短くするか、ささみの開き方を少し厚めに調整してみてください。

 

2. 「保存」はどれくらい持ちますか?

市販品と違い、保存料を使っていないため、過信は禁物です。

水分量にもよりますが、冷蔵保存で3〜4日以内を目安に食べ切るのが安全です。

もし長く楽しみたい場合は、真空パック機で空気を抜くか、一食分ずつラップに包んで冷凍保存することをおすすめします。

密閉できるガラス容器や、高機能な保存容器に入れておくと、冷蔵庫を開けるたびに幸せな香りが漂います。

 

3. 味付けのアレンジはできますか?

もちろんです。

ダイエット中のマンネリを防ぐために、色々なフレーバーを試してみてください。

  • スパイシー系:チリパウダーやカレー粉をまぶす。
  • 和風ハーブ系:乾燥させた大葉や山椒を仕上げに振る。
  • 洋風:乾燥バジルやオレガノを漬け込み液に混ぜる。

 

まとめ:夜の時間を味方につける燻製

ささみの燻製ジャーキー作りは、難しい技術よりも「待つ時間」を楽しむ料理です。

最後に、今回のポイントを振り返ります。

  1. ダイエットに最適:高タンパク低カロリーで、噛むことで満足感が得られる。
  2. 安全第一:必ず80℃以上の「熱燻」で中心まで加熱する。
  3. 乾燥が命:燻製前の風乾と、燻製後の追加乾燥で、好みの食感に育てる。
  4. 下処理:筋を取り、薄く開くことで、失敗なく均一に仕上がる。

夜、自分のために作ったジャーキーを一片、口に放り込む。

噛みしめるたびに広がるスモーキーな香りは、一日の疲れを静かにほどいてくれるはずです。

「ダイエット中だから我慢する」のではなく、「ダイエット中だからこそ、こだわりの一品を楽しむ」。

そんな豊かな夜を、ぜひこのレシピで手に入れてください。

 

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